吃土的毎天

備忘録として

認知症発症リスクは中年時の心臓血管リスク因子と関係している

Risk score for the prediction of dementia risk in 20 years among middle
aged people: a longitudinal, population-based study. Lancet Neurology
2006; 5:735-741

認知症にはいくつかの心臓血管リスク因子が関係しています。

この文献は、中年の人が晩年に認知症を発症するリスクを予測する簡便な方法
認知症リスクスコア)の開発・検討結果を報告しています。

この研究では、中年時に検査され、その20年後に認知症の兆候が評価された
1409人のデータが用いられました。採点方法作成のため、中年時のいくつかの
心臓血管リスク因子が検討されました。ベータ係数をもとにスコア値を算定
し、個々のスコアの合計(0‐15)で構成される認知症リスクスコアが開発さ
れました。

調査の結果、20年のフォローアップ期間中の認知症発症率は4%でした。将来
認知症発症リスクの予測因子として有意だったのは高齢(47歳以上)、低学
歴(10年未満)、高血圧、高コレステロール血症、肥満でした。

認知症リスクスコアは認知症予測に有効でした。認知症リスクスコアのカテゴ
リー毎の認知症リスクは、0‐5点で1.0%、6‐7点で1.9%、8‐9点で4.2%、
10‐11点で7.4%、12‐15点で16.4%でした。認知症リスクスコアのカットオ
フ値を9点以上としたときの認知症検出感度は0.77、特異度は0.63、陰性適中
率は0.98でした。

認知症リスクスコアは、認知症リスク予測のための新しいアプローチであり、
予測精度を増すために今後の評価と改善が必要です。しかし認知症発症におけ
る心臓血管リスク因子の役割に注目するこのアプローチは、徹底的な生活改善
と薬理学的介入の恩恵を受けられる患者を特定するのに役立つでしょう。